疎開して

千葉に疎開して、色々考えた。隣の県なのにこんなに違う。
 
それまで、自分達はまだ家がこんなでも家もあるし家族もいる。家を流されたりもっと大変な人たちは沢山いる、頑張らなくては、弱音なんて吐いてられない。頑張らなくては。
 
そう思ってやってきた。
 
でも千葉に来て思った。
 
あぁ茨城は立派な被災地だ。
 
これじゃ人事なのは仕方ない。 
 
隣の県なのにこんなに違うものかと、複雑な気持ちになった。
 
勿論千葉でも被害はあるし、苦しい思いをしている人は沢山居るとおもう。
 
けどその時の私はなんだかとても嬉しさと共にショックだった。
 
不思議なことに、千葉に来てから余計眠れなくなった。
 
実家が心配だったし。こんなに家を離れて不安になったのは初めてだった。
 
早く家に帰りたい。それだけだった。
 
何日か経って気分転換に買いものに行こうといわれた。
 
あまり気乗りはしなかったが、行ってみようということになった。
 
スーパーと洋服が売っているモールにつく。
 
まず食料品で日持ちしそうなものを少しかう。
そしたら、もうなんか気分が悪くなってしまって。すぐ帰ることにした。
 
あんな日常から、急に普通の世界に行った事に体も心もついてかなくて、当たり前なんだけど、行き通う人々が普通の生活をしていて、悲しくなってしまった。
 
誰が悪いわけじゃない。
 
私が勝手にそう感じて悲しくなった。人ごみも酔ってしまった。